不動産相続

相続税改正案から伺える、国の誘導方向2011年3月17日 | 相続よろず話,相続税法について

この度の相続税法の改正案が成立するかどうかは別にしまして、

不成立であったとしても、その方向性は変わらないものと思います。

今回は、国の基本的な考え方を読んでみたいと思います。

 

まず、過去25年の相続税の税収額を振り返りますと、1986年度は

1兆5000億弱でしたが、バブル時の1993年に約3兆円となり、

その後、基礎控除の引き上げ、小規模宅地等の特例により右肩

下がりとなり、2010年度は約1兆3000億まで下がってきました。

 

そして、死亡者総数に対する、相続税納税対象者は、ここ10年、

4%程度なので、100人に4人が課税対象者でした。

 

①基礎控除の40%ダウンについて

これにより、死亡者総数の4%程度であった課税対象者が、6%

程度まで拡大されるという予想がされています。

 

最近は、色々な角度から『公平』という言葉が使われますが、

ごく一部の資産家から相続税を徴収するのではなく、もう少し

すそ野を広げて徴収しよう・・・、そんな意図が伺えます。

 

本ブログでもUP済みですが、ギリギリ課税対象にならなかった

方々は、数百万程度の納税が発生するという試算の通り、

ちょっとした資産家からも徴収し、税の公平なる負担を目指そう

という意図があるように思えます。

 

また、相続資産は、そもそも不労所得に近いものであるという、

そんな認識が一層強くなってきているとも読み取れます。

これは、現在の経済不活性な状況において、一生懸命働きたく

ても、なかなか仕事が無いとか、給料が上がらないとか、そんな

時代背景のもと、上位6%程度に位置する資産家からは、増税

しても大きな反発は無いであろう・・・、そんなレベルを目指して

いるような気が致します。

 

もちろん、背景には中長期的な税収不足に対し、不景気でも

その設定基準によっては、そこそこ税収が見込める相続税に

矛先が向けられているのは間違いないでしょう。

 

②死亡保険金の非課税枠の縮小について

現在、死亡保険金の非課税枠は

500万円×法定相続人の数

となっていますが、改正案では、対象となる法定相続人を

『未成年』、『障害者』、『被相続人と生計を一にしていた者』

としています。

 

子供がすべて独立しているような場合、配偶者だけが対象

となり、500万円だけが控除されるに過ぎなくなります。

 

これは、独立していて自分で生活できている方々は、相続税

においては、厳しく徴収します・・・という意味です。

 

また、生命保険は、相続税対策の一つの手段として加入されて

いるケースも少なくないので、相続税を少なくする目的、節税の

目的での生命保険利用に制動をかける意味もあるはずです。

 

③贈与税の緩和

強化されそうな相続税に対して、贈与税は少し緩和されます。

おおっ!と思いますのは、これまで相続時精算課税制度は、

受贈者が子供だけだったのが、孫(20歳以上)が追加され、

贈与者も65歳以上から60歳以上へと引き下げる案です。

 

要するに、高齢者から若者に、どんどん資産を移してあげる

ことを推奨しているようなものです。

 

これは、『相続税は増税します、それならば、生きているうちに

贈与税を払ってでも、若い方々へ資産を与えるほうが、感謝も

されるし、宜しいんじゃないですか?』 というような、国からの

声が聞こえてくるような気が致します。

 

【まとめ】

相続税・贈与税の今後を決めるキーワード

①不景気 高齢者増加  ⇒  『税収不足』

②不景気 ⇒  『若者に仕事、お金が無い、将来設計描けない』

③資産の偏り ⇒ 『資産が高齢者に集中している』

 

国は、色々な角度から、国と言う立場として見た場合の、その時

その時の『国民の公平』を考えているように感じます。

これは、立場が違えば公平にも感じますし、不公平にも感じます。

 

所得税の累進課税にしても、数千万円の所得がある方からすれば、

自分も一般市民として同じ道路を歩き、同じ空気を吸って、同じ水道

を利用し、同じ公共施設を使うに過ぎない身であるのに、何故に自分

はこんなに高い税金を払うのか? と思っている人もいるでしょうし、

どうしてこんなにカツカツな生活している我々から、また消費税UPで

増税しようとしているんだ! と思う方もいるでしょう。

 

今回の相続税の改正案を見ますと、『国民の公平』という観点から

見た場合、『世代間の公平』が注視されているように思います。

 

高度成長期に右肩上がりに資産が増えて来た世代。

何年経っても給料が上がるかどうかわからない世代。

大学卒業者の内定率が7割を切った、そんな若者世代。

そして、そんな高度成長期の世代に支払う年金を、既に苦しい

若者たちが背負っていかなければならない様相。

 

こんな世代間を少し公平にしていこうか・・・、そんな狙いが国の本当の

狙いの様な気がしてなりません。



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